キッチンリフォームでは、「収納」を変更することもあると思います。家の中で使う収納の中でも、利用頻度が高いものとして「キッチン収納」が挙げられます。
調理用品や食材のストック、食器など、キッチン収納に仕舞うものは大きさがバラバラで、片付けに手間や時間がかかります。ここでは「どこの収納に、どんなものを片付ければ家事の効率が上がるのか」、また、「キッチンリフォームで収納を便利に使うためのポイント」について紹介します。
キッチン収納の種類と収納術
キッチンリフォームで考える収納の種類には「ウォールキャビネット(吊り戸棚)」「フロアキャビネット」「背面収納」「パントリー」があります。それぞれどのようなものか、下で詳しく紹介します。
ウォールキャビネット(吊り戸棚)
ウォールキャビネットとは、「キッチンの上部、もしくは壁側の上部に設置してある収納」を指します。ウォールキャビネットはシンク(流し)のすぐ上にあり、収納量も多いため便利です。ただ、少し高い位置にあるため、踏み台や脚立(きゃたつ)を使って、取り出す人も多いのではないでしょうか。ウォールキャビネットによってはこのようなデメリットを改善した、「手動や電動で、手の届く位置まで棚を降ろせるタイプ」もあります。
ウォールキャビネットには何を入れればいい?
ウォールキャビネットの高さは多くの場合、50~90cm程度です。高い位置にある収納なので、「大型で軽いもの」「あまり使わないもの」を入れると良いです。たとえば、「運動会用の大きなお弁当箱」や「来客時の食器」などです。
取っ手が付いている透明のケースなどに「食器」「ストック品」「非常食」などの目印をつけて、種類ごとに分けて収納すれば、より使いやすくなります。
出典:LIXIL
また、上の写真のような「目の前に下がってくる吊り戸棚」なら、普段よく使う調味料やまな板などを置くのも便利です。こうした戸棚には水切りがついているタイプもあり、より家事の効率が上がります。
フロアキャビネット
フロアキャビネットとは、「キッチン本体の下に付いている収納」のことです。引き出し式が主流で、奥に収納したものを出し入れしやすくなっています。
フロアキャビネットは床から80~90cmほどの位置にあり、楽に手が届きます。
どんなものを収納しておくと効率がいいの?
フロアキャビネットには、使用頻度が一番高いものを収納しましょう。たとえば「鍋」「ボール」「包丁」「サランラップ」などを入れると良いでしょう。
フロアキャビネットは大容量のタイプも多く、よく使うキッチンツールをほとんど収納することができます。
収納する時は「使う場所の近く」に
それぞれのものは使う場所の近くに収納すると、より家事をしやすくなります。
出典:LIXIL
上の写真のように、コンロの下には鍋やフライパンなど、「コンロで使う大型のもの」を入れると良いです。また、調理スペースの下にはフライ返しなどの「調理器具」や、砂糖・塩などの「調味料」を収納しましょう。
シンクの下には水切りカゴや包丁など、「水回りで使うもの」を入れると、調理をするときに動きの無駄がなく、家事の効率が上がります。
背面収納
背面収納とは、「対面キッチンの場合に背中側にある収納スペース」を指します。ここには、食器や家電を置くと良いです。
最適な食器棚の奥行き
一般家庭で使われているお皿は、大きくても25cmほどです。そのため食器棚をリフォームして大きくする場合、奥行きは30cmまでに決めるのがおすすめです。食器棚の奥行きがありすぎると茶碗やお皿を取り出しにくく、使い勝手が悪くなります。
また、食器を綺麗に一列に並べると、使いやすさを保ちながら「見せるインテリア」にもなります。リフォームの際にはお皿の量を考えて、背面収納の大きさを決めると良いでしょう。
背面収納には、「よく使うもの」を置く
背面収納は家電も食器も置くことができるので、使わないものまで置いてしまいがちです。しかしよく使う家電や食器などを置くほうが、料理中の効率が良くなります。また、背面収納をリフォームするときには、「仕切りの高さを調節できるタイプ」を選ぶとより便利です。
パントリー
パントリーとは「食品庫」のことです。パントリーには「食品のストック」や「水やワインなどの飲み物」、「調味料」などを入れておくことができます。食器棚とは別にパントリーがあると、収納に余裕ができます。
ここまで、収納の種類や収納術について紹介しました。
では次に、キッチンリフォームをするときに、「どのようなキッチン収納を作れば便利になるか」について紹介します。
キッチンリフォームでキッチン収納を設置・変更するときのポイント
キッチンリフォームでキッチン収納を設置・変更する場合のポイントをそれぞれ紹介します。
ウォールキャビネット
ウォールキャビネットは基本的にシンク(流し)のすぐ上にありますが、少し高い位置にあるため「手動や電動で、手の届く位置まで棚を降ろせるタイプ」にするのがおすすめです。
対面キッチンにリフォームする場合の注意点
対面キッチンの場合、リフォームでウォールキャビネットを無くす事例もあります。これは、キッチン本体の上に吊り戸棚があることで「光が入るさまたげになる」「開放感が無くなる」などの理由が挙げられます。
上の写真のように、ウォールキャビネットが無いことで、明るく開放的な空間にすることができます。ただ、キッチン用品の量によっては収納が足りなくなることがあるので、背面収納のサイズやパントリーを増やすなどの調整が必要になります。
リフォーム後に開放感が感じられず、再度ウォールキャビネットを無くすリフォームをしなくて良いように、先に考えておきましょう。
背面収納
対面キッチンへリフォームするときに背面収納を設置する場合、「コンセントの位置」に気をつけるべきです。「どのような家電を、どこに置くか」を考えてください。「コンセントはいくつ必要なのか」「コンセントの差込口が遠くならないか」をリフォーム前に考えておくと、工事が終わってから延長コードを使う必要がなくなります。
フロアキャビネット
フロアキャビネットは「機能」にこだわると良いです。たとえば、「扉が斜めに傾いて、収納したものが取り出しやすい」「利き手によって向きを変えられる包丁ケース」「奥行きいっぱいまで収納スペースがあり、ホットプレートなど大きめの調理道具も収納可能」などのポイントがあります。普段の生活から「どのようなものを収納することが多く、フロアキャビネットにどのような機能がほしいのか」を考えて、自分が使いやすいタイプを選んでください。
パントリーの作る位置
パントリーをリフォームで設置する場合、キッチンの端の小さなスペースに作ることも、独立した大きなものを作ることもできます。奥行きを40cm以内にすると、パントリーに入れたものでも確認しやすく、取り出しやすくなります。また、パントリーは作る位置によって使い方が変わります。「キッチンの近くに作る場合」と「玄関の近くに作る場合」の2パターンを紹介します。
キッチンの近くに作る場合
パントリーをキッチンの近くに作ると、「食品」や「ストック品」を入れるのがメインになります。また、キッチン本体の位置によって、パントリーの「作ることができる位置」や「大きさ」が変わってきます。対面キッチンの場合は、パントリーの「扉の開き方」に注意しましょう。キッチン内のパントリーの扉が手前に開くと、調理中や通る人の邪魔になってしまう場合があります。この場合、「スライド式」や「折れ戸」のタイプがおすすめです。
玄関の近くに作る場合
パントリーを玄関の近くに作ると、「買ってきたストック品などをパントリーに入れ、残りを冷蔵庫に入れると」いう流れで収納することができます。この場合、重たい水などをキッチンまで運ぶ必要がなく、便利です。また、届いた荷物や野菜などを一旦置いておく場所としても使えます。
リフォームを計画するときは、キッチン空間のバランスと、「どこに」「どれぐらいの大きさ」でパントリーを設置すれば便利になるかを考えましょう。
「スッキリと収納する仕組み」を作る
キッチンで使う道具は、大小さまざまです。そこで、「可動できる棚」にしておくと、入れるものに合わせて収納を効率よく使えます。
また、料理を作るときには、「必要なものの取り出しやすさ」が大切です。奥行きを浅くして調味料などを一列に収納することで、扉を開けると一度に見渡すことができ、自分の動きもワンアクションで済みます。もし、一列に並べられない場合は、カゴやトレーに入れて整理して収納しましょう。
キッチンリフォームと合わせて収納について考えれば、快適なキッチンを作ることができます。
次に紹介するのは、「より便利に収納を使う方法」です。「家族みんなが自然に片付けられる環境」を作ると、より良いリフォームに繋がります。
家族みんなが分かりやすくなる収納のポイント
ここからは、「自分だけでなく、家族にも分かりやすい収納」にする方法を、5つ紹介します。
収納場所を定位置にする
収納とは、物を入れる場所がたくさんあれば片付くものではありません。いつも物が散らかっている人は、「何が」出したままになっているかを確認してください。放置しているものは「収納が足りなくて」そのままになっているのか、「収納するところが分からなくて」外に出しっぱなしになっているのかを考えましょう。
キッチンは「お箸やスプーンはここに仕舞う」「小さいお皿はここに収納する」のように決めると、誰でも取り出すことができます。家族みんなで使うものは、「定位置」を決めておくと片付けが簡単です。
しまいこむのではなく、次に使うために収納する
収納で大切なのは「仕舞ったものが、使いやすいこと」です。収納の仕方が悪いと、どこにあるのか思い出せなくなることがあります。また、買ったことを忘れて、また同じものを購入してしまうこともあります。
「食品のストック場所」や「使いかけの小麦粉や砂糖を置く場所」など、収納場所を決めましょう。すると、賞味期限切れを防いだり、買ったものの管理を行いやすくなります。
暮らしに合わせて収納を変える
最初からしっかりと置く位置を決めても、ライフスタイルの変化などに応じて収納場所も変わります。収納を使ううちに棚がもう一つ欲しくなったり、棚の高さを変えたくなったりします。少しゆとりを持ってザックリと収納を作ると、環境の変化に対応しやすいです。
キッチンで使う道具や食材ストックの量と使う頻度を確かめる
キッチンで使う道具や食品のストックを整理するだけで、収納スペースは広がります。すると、家事も行いやすくなります。
おたまが何個もあったり、さいばしが何本もあったりしないでしょうか。それらは全て使っていますか?結局お気に入りの一つを使い続けていませんか?
今あるものを使う頻度で、「季節ごとに使うもの」「あまり使わないもの」「使わないけれど、残しておきたいもの」「思いきって手放すもの」に分けてみましょう。
「使うもの」と「仕舞うもの」は、セットが基本
よく使うものほど、出しっ放しにしてしまいやすいです。「使ったものは、必ず仕舞う」ということを意識すると、キッチンが片付きやすいです。
「引き出しを開けると、すぐ取り出せる」「キッチンであまり動かずに、食器を収納できる」というだけで、家事の効率はぐんと上がります。使う場所の近くに収納するよう気をつけてください。
上で書いた5つのポイントを踏まえて、キッチン収納を考えましょう。家事効率が上がって時短に繋がるだけでなく、調理や片付けを家族に手伝ってもらいやすくなります。
最後に紹介するのは、キッチンリフォームで忘れがちな「ゴミ箱の位置」についてです。
キッチンに置くゴミ箱の位置を決める
キッチンリフォームをするときに「ゴミ箱の位置」を考えておくと、後で困りにくいです。キッチン計画と一緒にゴミ箱の位置を考えておかないと、「対面キッチンの中の通路にゴミ箱を置いたが、邪魔になる」など、使いにくいキッチンになりやすいです。ゴミは分別する必要があるので、「ゴミ箱を何個置くか」で必要なスペースは違います。
「ビルトインタイプのキッチン」を選ぶ
出典:クリナップ
システムキッチンのオプションとして、ゴミ箱を「ビルトイン(キッチン本体に内蔵)タイプ」にできる場合があります。ビルトインタイプのゴミ箱は基本的に、「引き出しスライド式」となっています。こうしたタイプなら、ゴミをすぐに捨てることができます。そのため、常にシンク内を綺麗な状態に保つことができます。また、ゴミ箱を見せたくない人にもゴミ箱がビルトインタイプのシステムキッチンはおすすめです。
キッチン内の家具に、ゴミ箱を内臓する
出典:BELLE MAISON
キッチン内には背面収納などの家具があるため、その一部にゴミ箱を隠す方法です。
インテリアになじませる
出典:ニトリ
お洒落なデザインのゴミ箱を選ぶと、キッチン空間に溶け込んで気にならなくなります。
まとめ
ここでは「キッチンが使いやすくなる収納術・リフォームで収納を便利にするためのポイント」について紹介しました。
収納はたくさんあれば便利ですが、物を仕舞い込んでしまうと逆効果になります。上で書いたポイントを参考に、リフォーム後のキッチンに最適な収納の位置や大きさを考えてください。また、綺麗なキッチンを保つことで、キッチンをいつも良い状態で使うことができます。あなたの生活スタイルや家族構成に合ったキッチンリフォームの参考にしてください。